22. 帯状疱疹後神経痛 70代女性
主訴:右肋骨の激痛
既往歴:胆石症
現病歴:高血圧症
経 過
7年ほど前に大学病院にて血液検査で膠原病の因子が高いと言われ、本人は自覚症状はないがステロイド剤を服用する。
数ヶ月後帯状疱疹を発症する。
本人によるとステロイド剤のせいでなったと言っていました。
帯状疱疹が治ったあとでも痛みだけは残りあらゆる治療をしたが改善されず、ペインクリニックのブロック注射も効かなかった。
そこで5年前から鍼灸院へ通っているがやはり一向によくならない。
鍼灸院を変えたり接骨院へ行ったりしているが最近今まで以上の激痛が起き始めたため、行きつけの美容院で当院を紹介されて来院。
最初来院したときは 体を曲げて捻った状態で右の脇腹を右手で押さえていました。 「もう痛んだわねー 」とやっと声を出せるような感じで苦悩の表情。
所 見
触診してみると背中に熱感と肋骨に圧痛が顕著でした。
問診時に、夜寝る前に患部を湯たんぽで暖めていると楽だと言っていました。 脇腹にさらしを巻いて腰部サポーターをしていました。
私は夜の『湯たんぽ』と『さらしを巻く』のもやめてもらえないかと言うと湯たんぽはやめられるけど、さらしとサポーターはやめられないということでしたので湯たんぽだけやめてもらうことにしました。
鍼灸治療
初回(7/5) 痛い場所は右の背中から脇にかけてと言われたのでうつ伏せで施術したが、途中でその姿勢が辛いと言い始めたので少し我慢してもらってからはりを抜く。
施術中もハーハーとずーっと息を吐いていて辛そうでした。 針を抜いたあと横になって処置をして終ると少し痛みが楽と言っていました。
2回目(7/6) 背中の熱感はなくなっていました。
背中の痛みは殆どないが言い忘れていたらしく、お腹側も同じように痛いとのこと。
背中と合わせてお腹も施術。 しかし、まだハーハーと苦しそうに息を吐いていました。
3回目(7/7) 背中もお腹側も痛みはないが脇腹だけが痛みを感じると言っていました。 施術中も苦しそうな息をせず楽しそう にしゃべっていました。
4回目(7/11) 脇腹の痛いのは少し楽になったが気になると言っていました。
今日は脇腹も押さえておらず右手に鞄を持った状態で来院、帰る時はもっと楽そうでした。
まだ週に3回くらいの間隔で来てもらうように言いましたが、それから10日間来ませんでした。
そして再来院の時は悪化していました。
また同じように背中の熱感が初日と同じくらいの熱さになっていました。
聞いてみるとまた寝る前に湯たんぽをし始めたそうです。 湯たんぽをしていると楽になり眠りやすいと言っていましたが、
この方は夜だけ痛み止めを飲むと言っていたので、 その影響で痛みが緩和していたのではないかと思います。
結局、その後3日おきに2回見えてからは来院していません。
結 語
一度痛みが消えても暫く続けないとまた痛みが出てきます。
この方は痛みの消え方が通常より早かったので、 鍼灸治療を続けていれば2、3ヶ月で完全に痛みが消えると 思っていたのでとても残念です。
この方は高齢なので痛みが再度出たときに 最初に行った処置ができないので 間隔が空くと思った以上の効果が得られないです。
特に思った以上に早く痛みが和らいだ分、 再度痛みが出た時の期待(痛みがすぐに無くなる)は大きかったと思います。
しかし、実際は痛みが少しだけ緩和するのみだったので 気を落としたのではないかと思います。
また、湯たんぽも痛みを誘発していると思っていないので、このことも施術の効果の妨げに影響していると思います。