42. お尻の痛み:50代男性

右臀部痛(坐骨上):滑り症

既往歴 滑り症、大腸炎
その他 頻尿で尿が出にくい(3年前に前立肥大症の疑いあり)、夜間尿も2回/1日
    睡眠の質も悪い

経 過
 7ヶ月前から、歩いたりすると右坐骨上部に痛みを感じる。座ると当たって痛い。徐々に悪化。
 立つ姿勢を維持するのが辛い。

所 見
 ・腰椎下部に階段変形と右偏位、叩打で左脚に響く。
 ・右臀部の筋肉の圧痛、張りは少し、右仙骨の圧痛は顕著。 
 ・膝蓋腱反射は亢進。
 ・左股関節可動時に違和感あり。
 
 ・東洋医学的所見の脈と舌から判断すると湿と血虚の状態が見受けられました。
 ・耳ツボ診断で自律神経と左股関節に関係のある場所に炎症反応が見られました。


施術方針
 滑り症の影響は左脚に出ているのを避けるために右側に重心をかけていることによって(歩くのも座るのも)起きたものと判断したので、基本は滑り症の改善を優先。右仙骨の痛みに対しては対処療法。

 東洋医学的には去湿、腎を補う。血虚の脈もありましたが、湿の影響で血行が悪いという判断をしたので、今回は補血は省きました。施術の過程で血虚が改善されなければ補血の施術もします。

施術後
 鍼灸治療直後は立つ姿勢の辛いのは改善。鍼灸治療後2日くらいは臀部痛も頻尿も睡眠も楽になる。

 2回目以降、脈も舌の状態も良くなりました。 

結 語
 滑り症の方はそらす姿勢が辛いので自然に腰を丸める姿勢になります。そして鍼灸治療をすると姿勢が良くなり、腰が伸びる様になるので鍼灸治療直後はかえって滑り症の患部に負担がかかり、時によっては痛みが出ることがあります。これは一時的なので心配しないで欲しいです。痛みが出る場合は少し腰を丸めていただければ楽になります。

 鍼灸の治療を続けていくと姿勢が良くなっても痛みは無くなっていきますが、痛みがなくなったとしても、症状が安定するまではなるべく反らす姿勢や動作を避けてもらう様にしています。

 滑り症は治りませんが、滑り症による症状はほとんどなくなります。ただし、腰を反らす動作を反復したり、重いものを腰をそらして持ったりすると症状が出てきますので注意はしてください。

 また、この方のように頻尿など体調も良くなったのは、骨盤からの影響もあると思われます。
 その他に舌の苔がべったりとしていましたが、数回で苔がなくなっていました(すぐに無くなるのは比較的稀です)。

 実はこの苔が厚い状態は要注意なのです。このことについてはブログの「健康の話」に掲載する予定です。