52. 左肩の痛み 40代女性
主訴:服の脱着時の痛み、フラダンスでのハンドモーション時の痛み
現病歴:鵞足炎、子宮腺筋症
既往歴:突発性難聴
その他:年に2回ほど寝違いをする、足のむくみ
経過:
4ヶ月前にランニング中にパーキングブロックに足が引っかかり、手をついて転倒、一週間後に痛みが出てくる。
接骨院で施術を受けて日常生活ではそれほど気にならないが服の脱着の時、フラダンスの時の腕の動かし方で痛みが出る。
痛みはツッパリ感、張る感じです。
所見:
西洋医学的所見:
・腱反射全て異常なし。
・首の前屈で左側のつっぱり、後屈はしにくい。側屈・回旋ともに右で行うと左側に突っ張りや引っ掛かりが出る。
・左肩鎖関節の圧痛と、軋轢音が少しありました。
・立った時の右足指が開いて立つ。マラソン用の靴は0.5センチ大きいものを使うようです。
東洋医学的所見:
・冷えと弱っている(疲れている)脈でした。舌の状態は苔が強く出ていました。
このことから、気の巡りが悪いため、水の流れが悪くなり滞りが起きて、重だるい状態を指しています。
施術方針:
首の神経の圧迫は見られませんでしたが、所見から首の緊張感や傾きがありましたので、首の施術と肩鎖関節を含む肩周囲、肩甲骨周りの施術。
東洋医学的所見からは「脾」という臓器が弱っているのがありましたので、そこを補うのと気の巡りをよくして水の滞りをとる施術をします。
※もともと当室に来られたきっかけは鵞足炎の施術を受けるのが目的で、肩はついでという感じです。
鵞足炎の症例は次回にします。
鍼灸治療:
数回ほどの施術で服の脱着、フラダンスの時の腕の痛みは殆ど無くなりました。
結語:
手をついて肩を痛めるということは良くあることです。
すぐに症状は出ず、後々からゆっくり出てくることが多いです。
人によってはちょっと気になる程の痛みなので、そのままにしておくというケースが多く、そのまま放置しておくと五十肩という状態になることも多いです。
こうなる条件としては元々首や肩の動きが悪い人、日常的に肩に負担をかけている、寝る時に肩を下にする習慣がある人などが特になりやすいです。
よく五十肩は自然に治っていくという話はよく聞きますが、この場合はどちらかというとホルモンバランスが崩れて関節の潤滑剤がうまく回らず関節炎などを起こす場合です。
それ以外の原因の場合は放っておくとかえって悪化していくことが多いので、ちゃんと早めに施術を受けることをお勧めします。
ホルモンバランスの崩れで起きる五十肩も自然にきれいに治っていくならいいのですが、後遺症として肩周りの可動域が悪いまま痛みだけが治まった場合は、肩こりや頭痛などの原因にもなります。
特に首の血行が悪くなると脳に影響がありますので、ちゃんと良くしておくことを勧めます。