19. 加齢性黄斑変性症の概要と症例

加齢性黄斑変性症とは

加齢により網膜の中心部にある物を認識する黄斑という部分に障害が生じ見えにくくなる病気で難病性疾患。
日本では年々増加傾向にあるという事です。

欧米では失明原因第1位、日本では第4位です。
大きく分けると萎縮型と滲出型の2種類のタイプがあります。

萎縮型は網膜の下にある網膜色素上皮が萎縮して網膜が障害される型。

滲出型は網膜色素上皮の下にある脈絡膜から異常な血管が出てきて網膜が障害される型。
下図参照

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症例の方自身はどのタイプかは知らされていないのですが、状況的にみて滲出型と思われます。

主訴:加齢性黄斑変性症(左目) 60代男性

既往歴:アレルギ性ーの眼疾患(病名不明)
その他:乱視あり

経 過
50代後半から黒いもの、歪みが見え始め、60代になるとその状態が強くなる。

眼科を受診し加齢性黄斑変性症と言われる。
治療法はあるがあまり期待できないし、眼球の感染症を起こす可能性もあると言われたのでサプリメントで様子を見ることにした。

ルティンのサプリメントを服用してから視野の歪み、黒点(視野の中心が暗く見える)が少し改善。

服用開始から1年後にまた悪化し始める。

眼底検査の結果も良くなく網膜下の隙間が広がった。期待できる治療法がないため鍼灸治療を試してみることになる。

鍼灸治療
初診日2012年10月13日

忙しかったため10日~2週間の間隔で来院。

11月半ばぐらいから黒点が薄くなってきた。

2013年1月~4月までは週に2回の頻度で来院。

1月10日:歪みがなくなる。黒点は去年11月の薄くなった状態のまま。

1月17日:歪みが見え、黒点が少し濃く見える。

2月 7日:歪み、黒点は多少ある。

4月 2日:歪みがない、黒点も殆ど感じない。

4月下旬から週に1回の間隔で来院。

5月の眼科の検診では隙間が少し改善していると言われた。

歪みと黒点がない状態がありましたが、2014年6月以降からわずかに歪みと薄灰色のような暗点の状態が続きます。

2015年10月までは小康状態が続きます。

2015年10月21日:眼科の検査で隙間がまた狭くなっている。

最近検査をする毎に少しずつだが改善している。

2015年12月21日:眼球周囲出血。この日は患者さんが上機嫌で眼球周囲の上晴明と球後(下図参照)に鍼をし終わったあとよくしゃべりまたよく笑った。

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眼球周りの鍼がすごく動くので私は少し不安があったがそれが的中した。
針を抜いたあとに目が腫れ上がってしまった。
腫れ上がりすぎて目が開けられない状態。

これにまつわる話は『結語』に書きます。

2016年1月から2月初めまで家庭の事情で施術を中止するとまた歪みと黒点が強く出てくるようになる。
が鍼灸治療した翌日からもとの状態に戻る。

216年4月眼科検診で隙間が狭くなる。

2016年7月眼科検診で隙間が全くなくなる。但し、歪みと暗点は多少あるとの事。

あと2回の眼科検診で隙間がない状態が続いたら、施術間隔を2週間に1回に減らし、検診毎に今の状態が続くようなら徐々に施術回数を減らす事を伝えました。

話が長くなったので、結語は次回へ