38. 右膝の痛み:50代女性
右膝関節変形症:
既往歴:左足首の捻挫、むち打ち
現病歴:喘息、へバーデン結節
経 過
2年前に右ふくらはぎがつっぱる感じがあり、徐々に全体的に重だるくなってきた。1〜2ヶ月後、病院を受診。レントゲンで右膝関節変形症と診断を受ける。治療はヒアルロン酸注射を2週間に1回と痛み止めを処方される。
現在は階段の上り下りが痛い。しゃがんで立つときはすぐに立てない。長時間立っていると腰も膝の裏も辛い。
所 見
東洋医学的所見:陰虚瘀血
西洋医学的所見:腰椎上部(1〜2番)に階段変形。右股関節のテストで痛みやつっぱり感強く出る。
膝蓋圧迫で痛みを訴える。
膝の痛みの部位はお皿と膝裏でした。膝の皿は膝を動かす時に擦れるために炎症が起こり痛みを誘発したと考えられます。
股関節が悪い場合、膝の動かす角度がスムーズではない為、知らないうちに、擦れて炎症を起こすことが多いです。また、股関節は腰椎上部が関係しているので、元々の原因は腰椎だと思いました。
施術方針
東洋医学的には炎症を抑えることを目的にします。西洋医学的には腰椎上部を中心に鍼灸治療、右股関節の可動域をよくする、膝周りの筋肉のバランスを整える。
施術後
右膝は2日間は楽で、手すりなしで階段の上り下りができた。腰も楽。結構、動き回ったということでした。
結 語
病院での診断は、膝関節変形症ということで変形の場所をお聞きしたら、脛骨大腿関節(太もも骨とふくらはぎの骨の間の関節)の変形ということでした。
患者さん自身が訴えていた場所とは違っていました。実際に脛骨大腿関節が画像上変形していたとしても、痛みがその原因とは限らないこともあります。
今回、患者さんが訴えていた場所は膝の皿と膝裏でした。また、2年間もヒアルロン酸と痛み止めの処方をされたものの改善が見られなかった。全く別の箇所を鍼灸治療して改善したことから脛骨大腿関節の変形は関係ないと思われます。