40. 交通事故 正面衝突:50代女性

首、肩、肘、指、スネの痛みと痺れ


既往歴:卵巣嚢腫、腸閉塞、大腸がん
現病歴:頚椎症、肘痛

経 過
 10ヶ月前、車を時速40kmで運転しているところへ対向車がセンターラインを超えて正面衝突。エアーバッグが右肘から右手にあったって親指が真っ黒に内出血。右スネもブレーキを強く踏んだため傷める。CT検査で頚椎の椎間板が出ているとのことですが、何番かは不明。

 1〜2ヶ月間、整形外科と接骨院へ通い、痛みは治(おさま)る。肘の痛みは相変わらずなので、1ヶ月後、手の専門のクリニックへ通う。通って5ヶ月後から少しずつ肘の状態は良くなる。手のクリニックで電気検査は遠位反応が遅いとのこと。

 1週間前に重いものを持ってから、腰から足にかけて痛む。

所 見
上半身
 首はほとんど動かせない。右頭の付け根と右首前側に筋肉の強いこり。
 右腕は45度しか上げられない。前へ少し偏位していました。
 右肘は曲げると肘の外側が痛む。
 右親指、薬指、小指の痺れ。
 腕の腱反射には異常は見られませんでした。(腕に関連の神経の圧迫はないという判断になります)

下半身
 右腰、お尻〜太ももの裏〜脛下1/3:歩く時、重いものを持つ時、立ち上がる時に痛みと痺れが出る。特に脛下のところが顕著。
 車のアクセルを踏むときは右脛の中央が痛む。
 脚の腱反射は異常が見られました。また、腰椎上部が後方突出していました。聞いてみると、5年前にボールプールで飛び込んだ時に、圧迫骨折をしたとのことでした。

施術方針
 首、肘に関しては硬結部を緩和して関節を滑らかにする。肩も周囲の筋肉を緩めて偏位の矯正。
 腰〜脛下は坐骨神経痛に対しての鍼灸治療とアクセルの時の脛中央部の痛みは硬結が原因と思われるため硬結部の緩和。

施術後
 初回鍼灸治療後は首が5割ほど楽になり、肘は4割ほど楽。腰から脛は2〜3日は楽だった。指の痺れは親指は楽になったが、他は変化なし。

 3回後は指の痺れは部分的にはまだある。腰から脛の痛み痺れはほとんどない。腰から脚にかけての痛み痺れがないので、かなり歩くようになったとのこと。

結 語
 病院では良くなっていると言われていましたが、こちらに来た時はかなりひどい状態でした。事故から10ヶ月経っても事故当時とあまり状態は変わらないとお聞きしています。痛みは治ったということですが、痛みは炎症なので炎症が無くなれば痛みは治(おさま)ります。

 鍼灸治療後かなり回復が良かったのは、筋肉の硬結が主な原因だったからだと思われます。もちろん全てではありませんが、大半はそう感じられました。

 鍼灸治療は事故による障害にも有効です。保険会社も鍼灸治療を認めてくれれば保険会社が負担してくれます。事故による治療はかなり時間と費用がかかりますので、一度保険会社に聞いてみてはいかがでしょうか。