50. 左膝の痛み:40代女性

主訴:歩くと膝のあちこちが痛む


現病歴:甲状腺機能低下症
既往歴:腎盂腎炎、膀胱炎
その他:ふくらはぎがつる、
    足の冷え、脚のむくみ

経過
 散歩が好きで良く歩く習慣がある。2ヶ月前から左膝が徐々に痛み始める。
 原因は不明。
(2年前にも膝が痛くなり、その時に病院のMR検査で変形施膝関節症を診断される。湿布と飲み薬で日に日に改善。)

 痛みは一箇所ではなく膝の内側・外側・裏側とあちこちに痛みが出る。

 歩く時、階段の上り下りの時に痛みが出る。
 立っていると左膝の裏が重い。また、歩くときは関節がはまっていないような違和感もある。

 左股関節がはまってない感じがして股関節を鳴らす癖があるようです。

所見
 脚の腱反射で腰部神経の減弱が見られました。

 膝に関しては筋肉の硬結が外側にあり、患者さんはそこが一番痛がりました。

 また膝のサラを動かすテストでは音がしました。

 股関節テストは痛みや張りがありました。

施術方針
 動作で膝のあちこちが痛むのは筋肉性の痛みなので患部のこりを取る。

 膝の筋肉をうまく動かせないのは腰の神経が働いていないのが原因なので、腰の施術が重要と考えました。

 また、立っていて膝裏が重いというのも
腰からきている症状と判断しました。

鍼灸治療
 初日の施術でほとんど楽になったので、鍼灸治療の帰りに大須の街を歩き回ったら、また膝が痛くなる。
(私は、しばらく歩くのは控えてと伝えたのですが、患者さんには届かなかったようです)

 3日後には痛みはあるけど重い感じはないということでした。
 3〜4日後にかけては階段の上り下りの痛みは軽減、膝裏の痛みはないということでした。

 治療後は楽になる、違和感はまだ残っているということでした。

 患部の圧痛もほとんどなく、腰の神経の反射もあったので、膝の筋肉トレの指導とテーピングをして、「歩いてもいいですよ」と伝えました。

結語
 膝の痛みは膝を支える筋肉が働かなかったため、膝のサラが不安的になり、その影響で膝のサラ周囲の筋肉に負荷がかかり痛めることになったと思われます。

 この膝の筋肉は腰からの神経で動くので、腰が悪いのが原因になります。しかし、腰が悪くなった原因は所見から見ると骨盤の歪みからだと考えられました。

 また骨盤の歪みによって股関節にも影響が出たと思います。

 所見で、「腰が悪いですね」と伝えると、「悪くないです」という返答が来ました。これは普通の反応で、痛くないという意味での回答です。

 なので、「脚が上がりにくかったり、力が入りにくかったり、転びやすかったり、つまづきやすかったりしませんか?」と聞くと昔から良くあると言われました。

 治療家が言う「腰が悪い」というのは下半身の感覚だけではなく運動機能や可動域も入ります。