54. アトピー性皮膚炎 60代女性
主訴:首から背中にかけての痒み
2024.05.30 初回

2024.06.02 2回目

2024.06.06 3回目

2024.06.11 4回目

現病歴:高血圧
その他:冷え性、胃のあたりが硬くなる、腰痛、足のむくみ、左ふくらはぎのダルミ、トイレが近い、便秘など。
冷房の効いた部屋へ入ると、左肩から左下半身へと左側の冷えを強く感じるということです。
経過:
3ヶ月前に突然、首のところに痒みが出る。皮膚科を受診し、アトピー性皮膚炎と診断。ステロイドの塗り薬を処方され、患部へ塗る。
しかし、一向に良くならないため、数年お世話になっている鍼灸院で施術を受けると当日は良いが翌日からまた痒みが出る。
一向に良くならず、徐々にアトピー性皮膚炎も広がり痒みもつらいので、自力でネット検索して、調針灸室に来る決意をする。
※この方は10年ほど前からアトピー性皮膚炎が発症する様になったそうです。その時は、左側の頭の生え際の少しだけだったそうです。
また、発症したら薬を塗るとすぐに治ったということで、今回の様に薬が効かず痒みが治らず、徐々に患部の皮膚が広がっていくのは初めてということでした。
所見:
東洋医学的所見:
・気の巡りが悪く熱がこもっている状態に見受けられました。脈は腎が弱く、肝も弱く巡りが悪い状態。舌の状態は赤く乾燥していました。
このことから、気の巡りが悪いため、熱が上へ昇り、冷えが下で滞る状態になったと思われます。
西洋医学的所見:
・頚椎上部が左へ偏位。
・アキレス腱反射左が減弱。母趾背屈左右減弱。
・股関節のテストも陽性。特に左側。
施術方針:
東洋医学的:上部の熱を取り除きます。同時に気の巡りを良くして、寒熱を調和させます。肝の働きをスムーズにさせ、腎を補い潤を与え、むくみを取ります。
首の状態も良くないので首周りの改善、骨盤の歪みも強いのでそちらの改善。
鍼灸治療:
1回目:・施術当日と翌日は痒みがなかった。
・施術の帰りに脈が頻脈になってびっくりした。
・血流が足先まで流れている感じがあり、顔から足先まで熱かった。
・便が緩くなった。
2回目:前日から痒みが少し出てきた。
3回目:痒みは全くなし。トイレの近いのが少し改善。夜間尿が前回の施術翌日はなかった。
4回目:痒み全くなし。便通がかなり良い。今まで汗が出なかったのが出るようになった。
現在も週に1回の間隔で通っていただいています。
主訴の痒みは2回でなくなりましたが、その他にいろいろ悪いところがあるので、そちらの改善の目的で通っていらっしゃいます。
結語:
高血圧のお薬の副作用を見てみると、痒みの項目があり、その薬も過去に多形紅斑という皮膚炎を起こす報告もありました。
患者さんは薬を20年前から服用しているということと、10年前からアトピー性皮膚炎が発症したということを考えると、薬の副作用が頭をよぎります。
患者さん本人に「副作用に書いてあるので主治医に一度話されたほうがいいと思います」とお伝えしましたが、「はぁー」という返答であまり関心がない様でした。
薬を全ては否定しませんが、病気にもよりますが、やはり長期服用するのは考えたほうがいいと思います。特に、高血圧などの生活習慣病はある程度自力でも良くすることができます。
薬は手軽で楽ですが、やはり副作用はつきものです。また、薬が治療効果のあるものなら改善するので長期間服用することはありません。長期間服用するということはその病気は改善はしていないということになります。(※病気の治療が現状維持しかできないという場合を除いてです。)
副作用で起きる病気として「横紋筋融解症」という病気があります。これは厚生労働省も発表しているものです。特に高脂血症や抗生剤のお薬で多く、うつ、睡眠薬、鎮痛剤、高血圧、風邪薬などあらゆるお薬でも起こりえます。
薬の副作用は薬をやめれば治るものもあれば、治らず一生その状態で過ごすこともあります。長期間の使用は気をつけて欲しいと思います。できるだけ長期間にならない様に生活習慣の改善、鍼灸治療を受けて改善、温泉などで改善など、色々ありますので、一度そういう方面にも目を向けていただけるといいと思います。