60. 背中の痛み
主訴:呼吸、立ち上がりで背中に痛みが走る 10代
その他:時々胃痛と突然の腹痛。
数年前から背中は痛たかったようですが、親御さんが揉んだりお灸をしたりしていたそうです。
経過:
2日前、トランポリンをしていると、突然、胸に痛みが走った後に背中に痛みが強く出るようになる。背中の痛みは立ったり、呼吸をしたり、力んだりする時に出る。
所見:
西洋医学的所見:
・首の前屈で肩甲骨間に痛み。
・首の左右の側屈で肩甲骨に痛み。
・腕の神経反射は左右とも減弱。
その他:首の痛みもあり、上半身全体に痛みを訴える。かなり猫背。お腹もぽっこり出ている。
施術方針:
姿勢が悪いために首、背中へ負担がかかるので姿勢を整える。
首が圧迫されている部位の改善。
鍼灸治療:
1回目:・鍼灸治療後は楽になるが、翌日には辛くなってくる。
・お腹のぽっこり感も減っていた。
2回目:・呼吸や立ったりする時に痛みはなし。上半身の前屈で肩甲骨間の痛みを訴える。
・腹痛も起きにくくなっている。
・背中に筋肉がつき始める
3回目:・ほとんど痛みなし。腕の腱反射は減弱。姿勢も良くなってきている。
現在は週に一回ほどの間隔で通う予定です。
結語:
患者さんは強いネコ背で、親に姿勢を正すように言われて姿勢を正す感じでした。私はこれが今回痛めた箇所の原因だと思っています。なぜかというと痛めた部位がちょうど姿勢を無理に伸ばす時に力が入るところだったからです。
トランポリンで下に落ちた時は前屈みで胸に、飛び上がった時は背筋に力が入ったから最初に胸に痛みがあったのではないかと思います。こちらも日頃からネコ背による胸の圧迫が原因と思います。
経験上、悪い姿勢を自分で正そうとしている人は、かえって違う場所の歪みを誘発し状態を悪くしている人が多いと感じます。また、そういう癖のある方は施術したあとも自分で正す行為をするので施術効果がうすくなります。ですから回復もかなり遅れたり、効果もすぐになくなる方もいます。ひどい場合は悪化することもあります。それは施術で可動が良くなる分、自分で正そうとするとその可動域分、余計に動くからです。
このことを踏まえて、ネコ背状態で無理に正すとそこからまた歪みが始まります。姿勢が悪いと自分で正そうとするのですが、殆どの方は却って歪みを引き起こしますので、そこは気をつけて欲しいと思います。
また、患者さんはよく腹痛を起こしていたようですが、これも姿勢から来ていると思われます※1。まだ、日が浅いうちはいいのですが、このまま放置していき対処療法で整腸剤や胃薬、痛み止めなどを飲んで症状を抑えていると、年数とともに本当の病気になることがあります。まず、症状を抑えるのではなく原因を突き止めて、その原因に対して処置をされると未病の状態で病気が防げると思います。
※1:自律神経は背骨の横を通っていることから内臓の不調が現れやすいです。また歪みは血行の通りも悪くすることから胃腸のような消化器系ばかりでなく、心臓、泌尿器、婦人科、感覚器や脳などの臓器にもが不調が出てきます。
病気になっている方は意外にも単純な原因だったりします。もちろん、姿勢ばかりではなく私が日頃から言っている『睡眠、食事、運動』も必要です。