61. 腰の痛みと足の痺れ
主訴:腰痛、足裏の痺れ 70代後半
その他:左膝の痛み
耳鳴り
経過:
7〜8年前から腰の痛みが起き、整形外科で治療を受ける。
2〜3年前から足裏に痺れが出るようになる。
腰痛、足裏の痺れは全く改善されていない。
腰の痛みは起床時にあり、腰掛けている時も痛みがある、動き回っている時は楽。
半年前のレントゲン検査で腰椎下部が狭くなっている(つぶれている)と指摘される。
所見:
西洋医学的所見:
・腰後屈で腰椎上部に痛み。
・腰右側屈で腰椎上部から下部にかけて痛み。
・腰に関する腱反射全て減弱。
・母趾背屈左減弱。
東洋医学的所見:
・冷えを示す脈。
・腎虚。
施術方針:
腰椎下部の循環をよくする。
骨盤の歪みもあったので徐々に正していく。
腎陽虚に対する施術。
鍼灸治療:
初回から施術後2、3日は起床時は楽ということでした、3回目からは足裏の痺れが半減。
7回目ごろから起床時の痛みがなくなったり、あったりということを繰り返します。足の痺れは半減してからは変化がない感じです。
13回目ごろには起床時痛はなく足の痺れもほとんど感じない、車の長時間運転で腰が痛かったのがかなり楽ということです。
その後、風邪により1ヶ月半ほどお休みをして施術を再開しました。
再開時起床時の痛みが少しあり、足裏の痺れもあり、運転が長いと痺れが強く出るということでした。
その後、6回ほど通われました。その頃には腰痛と痺れは軽減されました。
遠方から通われていたので、通うのが徐々にキツくなったということで施術は終了になりました。
結語:
膝の痛みがあったのですが、膝自体の鍼灸治療はしなかったのですが、早いうちに痛みがなくなったということです。
また、耳鳴りも少し良くなったとおっしゃっていました。
これは膝の痛みは腰が原因だったため、腰の施術で膝の痛みが消えたと思われます。
また、耳鳴りに対して特別な鍼灸治療はしていませんが、東洋医学では耳と腰は関係があるため、腰の鍼灸治療が耳鳴りにも影響したと思います。
患者さんは整形外科へ通っていたが悪くなっていないので、通っていたとおっしゃっていましたが、
腰痛が始まって数年後、足裏の痺れが出てきたということは腰の状態は悪化していることを示しています。
足の痺れは腰から出ている神経の圧迫で起きることが多いからです。
実際、娘さんから足の血行を良くする塗るものを6ヶ月ほど塗っていた時は痺れは改善されていませんでしたが、腰の鍼灸治療開始後に痺れの改善が見られました。
このように腰自体の痛みの程度が同じでも、足に痺れが出たり、痛みの起きる状況(初めは起きる時だけが、座っていると、立っているとという状況)が多くなったりしてきたら、それは悪化している証拠なので、現状維持と誤解をしないでほしいと思います。